カンナビノイド研究会

 

 

 

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 CBDに関する今後の展開:軟骨肉腫

 

 藍野病院整形外科 神原清人

 

  悪性度軟骨肉腫は局所再発や転移を起こすため外科的療法との組み合わせ
による新規免疫化学療法の開発が期待されている。最近、予後改善を目的とし
て軟骨肉腫における免疫化学療法の効果を期待した研究がなされている。@細
胞増殖におけるチロシンキナーゼ活性の関与からTyrosine kinase inhibitorを用
いた研究、A肉腫の再発にMatrix metalloproteinaseが関係していることから
Metalloproteinaseのノックダウンなど遺伝子治療の試み、Bさらに腫瘍細胞に
対するアポトーシスを誘発するBcl inhibitorの治療なども注目されている。Cこ
れら以外にヒストンのアセチル化や脱アセチル化が軟骨細胞の分化制御の遺伝
子に関ることからHistone deacetylase inhibitorの腫瘍抑制効果についても報告
がある。
 我々はマリファナに含まれるカンナビノイドの主成分で、向精神作用を持た
ないカンナビジオール(CBD)がCBD受容体(G蛋白共役型受容体)を介してシ
グナル伝達経路の調整に関与することや、TRP Caチャネルに関与していること
から高悪性度軟骨肉腫細胞における腫瘍抑制効果があると考えた。そこで軟骨
肉腫細胞株(OUMS27)を用いて細胞増殖試験による初期的実験を行ったところ
CBD添加により腫瘍抑制効果がみられることを見出した。今後はこの研究をさ
らに進め、変異p53遺伝子導入した軟骨肉腫細胞株と悪性度の異なるいくつか
の軟骨肉腫細胞株を用いたin vitro実験と腫瘍移植マウスを用いたin vivo実験を
行っていきたいと考えている。(2021年4月18日)

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